コンサル事例 ①


1.相続した土地を従業員駐車場として貸していたが返還された
相談

■相続した土地を近くの大工場の従業員駐車場として貸していたが返却された。

■自身の相続を見据えて相続税評価減目的に賃貸住宅を建てるか、納税資金確保のために売却して現金
 化するか。ただ、本家が近くにあり、『もらったばかりの土地をすぐに売った』『すぐに賃貸を建て
 て金儲けに走った』と言われるのは辛い。

■しかし、県内に嫁いだものの決して近い距離とは言えないので自身での管理も難しい。


提案・コンサル              
■比較的交通の便の良い住宅街に隣接しているため、確かに賃貸住宅でも空室リスクは比較的少ないと
 思われる。   

■しかし、建てづらい理由があるので、土地貸しを検討。
 建物貸しと異なり土地単体での賃貸となるため収益性には大きな期待をしないことは承知済み。      

■普通借地による土地が返還されない将来リスクを排除するため定期借地権(定借)を選択。             

■8m道路とはいえ住宅街のため事業用定借の採用は難しい。
 が、一般定借50年はいかにも長い。           

■建物譲渡特約付き定借による30年の土地賃貸を検討・提案し、借り手として大手ハウスメーカー系不
 動産会社に絞って営業。交渉して契約をまとめた。   

■紛争が予想される地代の改定については、3年に1度の固定資産税の評価替えに合わせる形で総務省
 が公表する消費者物価指数を算式に利用する内容とし将来の賃料改定トラブルの予防を盛り込んだ。
      

結果
■これまで同様、安定的に地代が入ることもさることながら、賃貸住宅として利用してもらうことによ
 り当然に定期的に土地も管理してもらえるため、実家や近隣にゴミや草刈等で迷惑を掛ける心配が無
 くなったことが嬉しい。

■賃貸住宅用地としての利用となったため、更地で工場従業員駐車場として貸していた時に比べ、固定
 資産税の課税標準が下がり、結果的に受取地代の手取り額が変わらなかった。(これは、事前に固定
 資産税課に確認および税理士に依頼し試算してもらい提示してあった)


■普通借地権の設定よりは評価減の恩恵は少ないものの、自身の相続発生時には残存期間に応じた評価
 減を享受できることとなった。


■子どもたち2人にも『この土地は管理の手間が要りません。地代で固定資産税・都市計画税は支払え
 ますから維持費はかかりません。入ってくる地代は2人で仲良く分けなさい。暫くは貸したままです
 が、期間満了で土地は返ってきます。その時はもう代替わりということで実家に気兼ねは不要。2人
 で半分に切って分けてそれぞれが利用するも良し、売ってしまうも良し、好きにしなさい』と伝える
 ことができた。

■実家や親戚から、『もらった土地を売って金に換えることをせず、かつ、遊ばせるでもなし、賃貸住
 宅建設のために借金する訳でも無し。大事に利用するために良く考えた。大したものだ。』と評判が
 上がった。結果、とても喜ばれた。